妊娠中は浮腫が起こりやすくなります。妊娠するまではあまり浮腫の経験がなく、妊娠して初めての浮腫に驚きと同時に不安な気持ちを抱えているプレママもいるのではないでしょうか。
ここでは妊娠中の浮腫の原因や症状、浮腫んでしまったときの対処法に加えて、産後の浮腫の特徴や原因まで詳しく解説します。浮腫に悩んでいるプレママの皆さん、ぜひ参考にしてみてください!
妊娠中の浮腫の原因
妊娠中に起こる浮腫の原因はどんなものがあるのでしょうか。ひとつずつ見ていきます。ただし、浮腫の度合いには個人差があります。もし心配なようであればかかりつけの医師や専門機関に相談してみましょう。
ホルモンバランスの変化
もともと浮腫とは体の皮下組織などに余分な水分が溜まっている状態。妊娠中はホルモンバランスが変化します。妊娠中に増えるプロゲステロンというホルモンは、妊娠の継続に欠かせないホルモンですが、皮下組織に水分をためるという働きもします。そのため妊娠中は浮腫やすくなるのです。
妊娠高血圧症候群
妊娠高血圧症候群は、以前は妊娠中毒症とも呼ばれていた症状です。症状としては高血圧、蛋白尿、浮腫などがあります。これらの症状の中でも特に高血圧が母体や胎児に悪影響を与えることが分かり、2005年から妊娠高血圧症候群と呼ばれるようになりました。
高血圧から浮腫が起こります。水分が血管の外に漏れだしてしまい、全身に浮腫の症状が現れる場合もあるようです。症状がひどい場合は入院して治療を行なわなければいけません。
体重増加により腎臓の動きが追い付かなくなる
妊娠により体重が急激に増えることで、腎臓の動きが追いつかなくなる場合があります。妊娠すると体重が増える他にも胎児の血液も確保しなければなりません。腎臓に流れる血液量は妊娠前より約30%増えます。
そのため母体の腎臓には大きな負担がかかるのです。腎臓の動きが悪くなると余分な水分や塩分を体外に排出しずらくなるため、浮腫が起こりやすくなります。
大静脈の圧迫
妊娠後期になってくると胎児の発育によって大きくなった子宮が、太ももの付け根の太い血管である大静脈を圧迫してしまうことがあります。血液の流れが悪くなり、下半身から心臓に戻る血流が減少して浮腫が起こりやすくなってしまうのです。
ふくらはぎの筋肉収縮が低下
ふくらはぎの筋肉収縮が低下することにより浮腫が起こりやすくなります。ずっと同じ姿勢のままでいたりすると、ふくらはぎの動きが少なくなって筋肉の収縮作用によるポンプ機能の働きが少なくなってしまいます。
その結果、足の血液が心臓に戻りにくくなってしまい、浮腫が起こる原因となるのです。ふくらはぎの筋肉収縮はこむらがえりの原因にも繋がります。
静脈瘤が出来ている
ふくらはぎなど足の血管がはれて瘤のようになるのが下肢静脈瘤です。足が浮腫みやすいといういう中には静脈瘤を併発している人もいます。
静脈瘤ができやすい人は浮腫やすいと言われています。妊娠中はもともとある静脈瘤が急に悪化する場合もあるようですが、出産後にはある程度改善します。
妊娠中の浮腫で現れる症状
では、妊娠中の浮腫で現れる症状にはどんなものがあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
顔が浮腫む
起きているときは水分は下に流れるのであまり顔は浮腫みません。顔が浮腫んでいる場合、もしかしたら妊娠高血圧症候群などの病気の可能性があります。
浮腫は妊娠中普通のことだから……と放っておかないで、早めにかかりつけの医師に相談するようにしましょう。もともと腎臓などに持病がある人は特に注意が必要です。
足が浮腫んで靴が履けない
妊娠中に一番多いのが足の浮腫ですよね。大きくなっていく子宮を支えるために一番負担がかかっているのです。今まで普通に履けていた靴がきつくて履けないなんてことも……。
特に夕方以降は足の浮腫を感じやすくなります。浮腫がある妊娠中は、紐やベルトなど調節機能がついている靴がよいですね。そのときの足の状態に合わせて調節するようにしましょう。
ふくらはぎに静脈瘤ができる
子宮が大きくなり下半身の血流が滞ることで、血管がボコボコと盛り上がる静脈瘤が現れやすくなります。静脈瘤は静脈であればどこにでもできる可能性がありますが、特にふくらはぎによくできるようです。
妊娠によってできた静脈瘤は出産後には消える場合がほとんどです。消えなかった場合積極的な治療をすることもできるので、専門医に相談してみましょう。
指輪が抜けない
血流が滞ってしまうと指先まで血液が行き届かなくなり手が浮腫みやすくなります。指が太くなってしまい、上手く指が曲がらずにグーを握ることが難しくなってしまう場合も。
特に妊娠後期は浮腫がひどくなる傾向があります。指輪をしている人は、抜けなくなってしまう前に外しておきましょう。妊娠30週頃までに外しておくことをおすすめします。
ペットボトルが開けられない
手の浮腫がひどくなると、指を曲げようとすると痛くなってしまいます。手がパンパンに浮腫んでいて力も入らず、ペットボトルが開けられないなんてことも。
手の浮腫は特に朝の寝起きが一番ひどいようです。浮腫によって神経が圧迫されることにより、手のしびれなどの症状が起こる人もいます。
妊娠中の手や下半身の浮腫対策
妊娠中の浮腫対策をご紹介します。妊娠中の浮腫は人によってはとても辛いもの。できるだけ浮腫が起こらないようにするためにも以下の点に気を付けましょう。
塩分を控える
塩分過多は浮腫の天敵です。塩分を摂りすぎてしまうと体内に余分な水分を溜め込みやすくなってしまい、浮腫の原因になります。
妊娠中の1日の塩分摂取量は7g未満。醤油や味噌などはなるべく控えて薄味を心がけましょう。出汁やレモン、お酢、香味野菜などを効果的に使用してみると満足感のある味になりやすいですよ。
カップラーメンなどの加工食品は塩分が多いので注意が必要です。バナナやメロン、納豆、ひじき、ほうれん草などは浮腫対策に効果があるので、ぜひ試してみてくださいね。
マッサージやストレッチをする
血流が悪いと浮腫の原因になります。マッサージやストレッチを毎日行なうことは、浮腫の対策になります。特に血液がたまりやすい下半身を中心に優しくマッサージやストレッチをしましょう。
ただし、足の裏には子宮を刺激するツボがあるのであまりやらない方がよいかもしれませんね。ウォーキングなどの運動も新陳代謝が良くなるので効果的ですが、運動がダメな妊婦さんもいるので必ず医師に相談してから行なうようにしましょう。
体を温める
体を温めることは浮腫対策には有効です。体が温まると血液の流れがスムーズになります。入浴時にはなるべくシャワーで済ますより、湯船につかるようにして体を温めるようにしましょう。
体が冷えると血流が滞って浮腫みやすくなるので、冷やさないようにすることが大切です。夏でも冷房が効いた部屋に長時間いたら浮腫んでしまったなんてことも。部屋にいるときでも一枚カーディガンを羽織る、靴下を履く、暖かい飲み物を飲むなどをして体を温める工夫をしましょう。
水分補給をする
水分をとると浮腫むと思われがちですが、水分は妊婦の身体にとっては必要不可欠。むしろ水分量が足りないと、血液循環が悪くなって浮腫が起こる原因にもなるのです。小まめな水分補給を心掛けてください。
日頃あまり水分を摂る習慣がない人は特に要注意。水やカフェインレスのお茶などを常備して、意識的に水分補給するようにしましょう。
医療用ストッキングを着用する
浮腫防止に医療用のストッキングを着用するのもよいでしょう。ふくらはぎの筋肉にちょうど良い圧力がかかって、心臓への血流の戻りをよくする効果があります。
様々な圧のストッキングが売られていますが、あまり圧が低すぎると効果がなく、高すぎると圧迫しすぎて却って血流を悪くしてしまいます。まず初心者は圧力の弱いものから使い始めて、使用感を確かめながら自分にピッタリのものを探してみましょう。
産後の浮腫の特徴や原因
妊娠中だけでなく、産後にも浮腫む人もいます。なぜ出産を終えたのに浮腫んでしまうのでしょうか。産後の浮腫の特徴や原因について詳しく見ていきましょう。
出産時に出血が多い人はむくみやすい
出産時の出血の量が多いと一時的に貧血状態になることも。その後3週間くらいかけて妊娠前の血液量に戻っていくそうです。体内の水分バランスが崩れてしまうことが浮腫の原因になります。マッサージをし、ゆっくり休息をとるようにしましょう。
姿勢が悪い
産後の姿勢はどうしても猫背になりがち。母乳にしてもミルクにしても背中を丸めた方が授乳しやすく、どうしても猫背になってしまいます。姿勢が悪いと浮腫みの原因になります。授乳中は仕方がないとしても、他の姿勢を正すことを意識するようにしましょう。
下着がきつい
下着がきついと血流を圧迫してしまうことになり、浮腫の原因になります。浮腫がある場合は、できるだけ下着は余裕のあるものを着用しましょう。
疲れをためないようにする
赤ちゃんのリズムに合わせるとママはどうしても寝不足になりがちですが、寝不足は禁物。育児疲れや寝不足などは浮腫の原因になります。できれば赤ちゃんが寝ている時間は、昼間でも一緒に寝てしまいましょう。休息できる時間を見つけ出して、疲れをためないようにすることが大切です。
浮腫がひどい場合はひとりで悩まず相談しよう
妊娠中の浮腫はとても辛いですよね。浮腫の原因を理解して対策をしっかりすることで、浮腫の症状が軽減できたらいいですね。
どうしても浮腫が辛いときは一人で悩まないでください。パートナーや家族、友人などに支えてもらいましょう。浮腫の経験者ならよいアドバイスがあるかもしれませんし、話を聞いてもらうだけでも気分は変わりますよね。
また妊娠高血圧症候群など病気の可能性もあるので、ひどい場合は我慢しないでかかりつけの医師や専門機関に相談することも大切です。