妊娠したら誰でも嬉しくなりますよね。でも、妊婦健診や出産費用などでお金がどのくらいかかるのかどうしても心配になってしまいますよね。
実は妊婦健診や出産には助成金がたくさんあることを知ってますか?自分がどのくらいお金をもらえるものなのかをしっかり理解して、金銭的な心配をすることなく元気な赤ちゃんを産みましょう。
出産費用の相場は?
出産費用はどこでも同じと思われている方も多いかもしれませんが、実は病院の種類や都道府県によって違ってきます。
★総合病院の場合
- 私立病院:約50万円
- 公的病院:約48万円
- 診療所:約49万円
- 助産所:約46万円
総合病院と助産所だと約4万円ほどの差額がありますね。この差は入院費用や検査費用、薬代などからきているようです。
次は都道府県別に見てみましょう。(金額は平均です)
★出産費用が高いベスト3
- 東京都:約60万円
- 神奈川県:約56万円
- 栃木県:約54万円
関東地方は高いことが多いようですね。
★出産費用が安いベスト3
- 鳥取県・・・約39万円
- 熊本県・・・約41万円
- 沖縄県・・・約41万円
一番高い東京都と一番安い鳥取県では約20万円ほどの差があります。
出産をする病院を決めるときには値段やサービスが場所によって違ってくるので、電話やホームページなどで事前に調べておくようにしましょう。
出産費用に健康保険は適用されるの?
妊婦健診や出産にかかる費用は基本的に健康保険が適用されません。
一般的に健康保険と言うのは、簡単に言うと「病気や怪我を治すために病院に行った場合」に限られるわけです。
妊娠は病気ではないので適用外になるわけですね。でも、医学的な理由で診療が行われた場合は健康保険を利用できます。
【健康保険の適用になる代表的なケース】
★妊娠中の場合
- 重症妊娠悪阻(つわり)
- 切迫流産や流産
- 子宮頸管無力症
- 切迫早産や早産
- 前期破水
- 胎児や母体の異常による超音波検査やX線撮影
★出産時や入院時の場合
- 陣痛促進薬の使用
- 止血をするための点滴など
- 帝王切開
また、吸引・鉗子分娩など産院によっては健康保険の適用が認められることがありますので、事前に産院に確認をしておくとよいでしょう。
出産費用は分割で支払えるの?
出産費用は全国的に見ると平均で約50万円ほど。それだけの金額を一気に病院に支払うの?と不安になってしまいますよね。
出産をする病院によっては、クレジットカード払いを利用できるところもあります。事前に産院にカード払いができるのか、分割がOKか確認しておきましょう。支払った後にクレジットカード会社で分割払い変更できるところもあります。
出産費用用のカードローンや、一般的なカードローンを用意している金融機関を利用するという方法もあります。この場合、金融機関の審査があり、現金を受け取れるまで数日かかることもあります。できるだけ早めに申し込むようにしましょう。
出産費用の内訳
出産費用はなぜこれほど高額になるのでしょうか?
妊婦健診費用
出産まで平均14回ほど健診を受けます。臨月に入るまでは1ヵ月に1回や2回程度の健診ですが、臨月に近づくと回数がどんどん増えていきます。
★妊婦健診の費用
- 初診:1万円程度
- 2回目以降:5,000円前後
つまり総額約10万円ほどかかるのです。
この経済的な負担を減らすために、各自治体では妊婦健診の助成制度を設けています。
この助成制度は母子手帳を受け取るときと一緒に、妊婦健康診査受診票という補助券をもらい、健診のたびに病院の窓口に出せばよいのです。
どのくらいの補助が受けられるのかは各自治体によって違いますが、妊婦健診の自己負担額は全国平均で約6万円ほどだそうです。
補助券をもらう前の受診料はどうなるの
補助券をもらう前の受診料は清算できません。
補助は各自治体で行っているものなので、引っ越して母子手帳を受けた自治体から住民票を移動させたり、里帰り出産などで他の自治体の病院を受診する場合は補助券は利用できません。
補助券がまだ余っているなら、自治体に領収書と残りの補助券を提出すれば助成を受けられることがあります。
自治体によって違うので前もって確認をしておくとよいでしょう。
分娩費
分娩費用はどんな方法なのかによって費用が変わってきます。現在では無痛分娩さまざまな分娩方法を選べます。各分娩方法でどのくらいの費用がかかるのでしょうか?
普通分娩の場合
- 全国平均で約25万円ほど
入院日数は平均6日ほどになり、入院料など全ての費用を合わせると約50万円ほどになります。
普通分娩は健康保険だけでなく民間の医療保険の利用もできません。
出産は全ての人が必ず無事であるとは限りません。思いがけない事故などにより赤ちゃんが障害や後遺症などを患ってしまうことがないとは言い切れません。
その場合の補償費用を捻出するため保険のような「産科医療保障制度」に、約3万円かかります。
ほかにも、「新生児管理保育料」約5万円がかかります。生まれたばかりの赤ちゃんの検査などや保育などのための費用です。
帝王切開の場合
現在の日本では5人に1人の割合で帝王切開を経験しています。
- 事前に希望していた選択帝王切開:約20万円
- 緊急に帝王切開になった場合:約22万円
お腹にメスを入れた帝王切開手術は入院日数が約10日ほどであることが多く、通常分娩よりも入院料が高くなってしまい、全てあわせると通常分娩よりも約10万円ほど高くなります。
でも、帝王切開は手術費だけでなく薬や検査、入院料などに健康保険や民間の医療保険を利用することもできます。健康保険を利用できるということは、高額療養費制度も利用できるのです。
なので、通常分娩よりもトータル金額が安く済むことが多いようです。
双子の場合
分娩費というのは妊婦にかかるものなので、出産する子供が2人以上であっても費用はかわりません。
しかし、鉗子や吸引分娩などになった場合は2人分かかりますし、帝王切開であっても通常よりも高額になります。また、新生児管理保育料も2人分かかります。
入院費
出産をすると多くの場合病院に入院します。その費用は病院の形式やどんな部屋に入院するかによって違います。
- 総合病院(入院7日):約13万円
- 診療所(入院6日):約8万円
ほかにもどんな部屋に入院したのかによって差額ベッド代が変わってきます。1部屋にベッドが4床以下で加算され、部屋にあるベッドの数が少なければ少ないほど高額になります。6日間で差額ベッド代が約2万円というようなところもあります。
どのくらいの費用がかかるのか、事前に病院に確認したりホームページを見ておくとよいでしょう。
出産にかかるその他の費用
出産には入院時の食事代など、病院でどんな食事やサービスが用意されているのかで大きく違います。特に診療所だとその傾向が強いようです。
食事内容やサービスなどホームページに記載されていることが多いので、いろいろな病院を見比べて病院を決めるのもよいでしょう。
マタニティ用品代
妊娠中期になるとお腹がどんどん目立ち始め、普段使っている下着や洋服がきつくなってきます。すると欲しくなってくるのがマタニティ用品です。
でも、マタニティウエアを身につける期間は数ヶ月なので、アウターは買わずにインナーやパンツだけ購入するなど必要最小限で済ませる人が多いようです。
また、妊娠すると食事にも気を配るようになります。特に赤ちゃんに必要な栄養素である葉酸のサプリメントやカフェインレスのコーヒーなどが代表的ですね。
これらの費用は人にもよりますが、約3~5万円ほどであることが多いようです。
里帰り出産費用
里帰り出産をする場合、現在通っている病院に紹介状を書いてもらい、それを出産する病院に提出しなくてはいけません。
- 紹介状の費用:約2~5,000円(病院による)
里帰り先が母子手帳を受けた自治体と違う場合は、妊婦健康診査受診票を利用できず、全て実費になります。健診回数などどのくらいの時期に里帰りするかによって費用が変わってきます。
内祝いのお返し費用
無事出産するといろいろな方々からお祝いを頂くことがありますよね。そんなとき悩むのが内祝いをどうするか、ではないでしょうか?
- 内祝いのお返し費用:頂いた品物の金額の半分~1/3ほどが相場
出産後はママ自らが買い物に出かけるのは体調的につらいことが多いので、パパや親に頼むかネット通販などを利用するとよいでしょう。
分娩予約金がかかるケースも
妊婦健診をしていればそこで出産できる、とか、里帰り出産でも病院で受診すればそこで出産できる、と思われている方が多いかもしれませんが、今では多くの病院で分娩予約というものを取り入れています。
分娩予約をしておかないとその病院で出産できないことがあるので、分娩予約が必要なのか、いつ予約をすればいいのかなどを事前に確認しておくことが必要です。
分娩予約の方法は病院によって違います。口頭や書類を記入すればよいところもあれば、分娩予約金が必要になることもあります。
- 分娩予約金:約1~10万円(病院による)
この分娩予約金は分娩費と相殺されます。
緊急など医学的な理由により他の場所で出産しなくてはいけない場合は返金されますが、個人的な都合の場合は返ってきませんので注意しましょう。
出産でもらえるお金
どんなママであれ出産すれば加入している健康保険から出産一時金が受け取れます。また、妊娠時に働いていたママであれば会社から給付金を受け取れます。
平均的には妊婦健診から出産後までに約55万円ほどの助成金を受けられるのです。
では出産でもらえるお金の内訳を見ていきましょう。
出産一時金
出産するには高額な費用がかかります。その金額の負担を少しでも軽減させるためにある制度です。健康保険に加入しており、妊娠22週以降の妊婦であれば1人あたりの出産で42万円を受け取ることができます。
なお、流産や死産であっても妊娠22週以降であれば受け取り可能です。
病院が産科医療保障制度に加入していない場合は40万4,000円になるので、病院が加入しているかどうかの確認をしておきましょう。
健康保険組合によっては3~10万円ほどの付加金がつくこともあるので、事前に確認しておくことも大事です。
出産一時金はどこに申請すればいい?
出産一時金は申請をしなければ受け取れません。出産した病院で申請し、出産費用と清算してくれる「直接支払い制度」と、自分で健康保険組合に申請する「受け取り代理制度」があります。
多くの病院は「直接支払い制度」を導入していますが、未対応の病院もありますので事前に確認をしておくとよいでしょう。
また、出産一時金はママが加入している健康保険組合からしか支払いができず、重複して申請はできません。
夫の扶養の場合は夫の健康保険組合から、働いているママであればママの加入している健康保険組合に申請してください。
会社を退職している場合でも健康保険の資格を失うまでに、1年以上の加入期間があり6ヶ月以内であれば出産一時金を申請できます。
妊婦健診費用助成
妊娠してまずはじめにうける助成がこの妊婦健診費用助成です。この制度はどんなものなのでしょうか?
制度の内容
妊婦健診は健康保険が利かないので、経済的負担を軽減するため、健診費用の一部を助成する制度です。
控除される内容
妊娠健診で行われる問診、体重測定、尿検査、血液検査、血圧検査など
申請先申請方法
自分の住民票のある自治体の福祉保健に関する窓口で申請でき、申請書を記入して提出すれば母子手帳とともに受け取れます。
医療費控除
出産にはさまざまなお金がかかるものです。そのため経済的負担を軽減するために医療費控除を利用できます。
制度の内容
医療費控除とは1年の間にかかった医療費が10万円を超えた場合に受けられる制度です。
控除される内容
出産に関する全てが医療費控除になるわけでありません。
★医療費控除対象
- 妊婦健診費(実費で支払った金額)
- 分娩費
- 入院費(差額ベッド代は対象外)
- 入院時の食事代
- 病院に行くまでのバスや電車、タクシーなど公共機関の運賃
自家用車で通院した場合の駐車場料金や有料道路料金は対象外です。
バスや電車など領収書の出ないものは、用紙に日にちや金額を記載しておきましょう。
申請先申請方法
医療費控除の明細書があるので、税務署にもらいに行くか国税庁のホームページからダウンロードしましょう。健康組合から郵送されてくる医療費通知があればこの書類の記入を簡略化できます。
その他にも確定申告書、会社員の場合は源泉徴収票が必要です。
これらを持って翌年の2月16日~3月15日の確定申告の期間に税務署に申請をします。
還付された金額は申請してから1ヶ月~1ヶ月半程度で指定した口座に振り込まれるか、最寄りのゆうちょ銀行か郵便局で受け取れます。
高額療養費
医療費控除の他にも多くの医療費がかかった場合、高額療養費が利用できることがあります。
制度の内容
1ヶ月の間に医療費がある一定の金額を超えた場合に利用できる制度です。医療費の限度額は収入や年齢(70歳未満か70歳以上か)によって決められています。
控除される内容
自然分娩での出産は高額療養費の対象外です。
帝王切開や吸引分娩など異常分娩と呼ばれるものが対象になります。要するに健康保険が利用できるものが対象になるわけですね。
申請先申請方法
国民健康保険であれば多くの場合高額医療に該当する場合には申請書を郵送してもらえるのですが、社会保険など郵送がない場合には申請書を自分が加入している健康保険組合から取り寄せます。
書類に必要事項を記入したら、医療費の領収書など必要な書類と共に健康保険組合に郵送します。
一般的には申請から3ヵ月後に指定した口座に高額医療費が振り込まれます。
傷病手当金
健康保険の手当ての1つですが、これは出産時に利用できるのでしょうか?
制度の内容
病気や怪我で仕事を連続する3日間を含み4日以上休業しなくてはいけなくなり、その間に給料の支払いを受けられないときに受けられる制度です。
控除される内容
出産前後に怪我や病気を患い休職していることが前提です。また、出産手当金が傷病手当金よりも多い場合は受給ができず、少ない場合にのみ出産手当金の差額を受け取ることができます。
なお、出産手当金が支給される範囲外の傷病手当を受け取ることは可能です。
申請先申請方法
健康保険組合から傷病手当金支給申請書を受け取ります。必要事項を記入し、医師の意見書、事業者の証明書と一緒に郵送します。
怪我や病気の状態によっては他にも申請書類が必要になる場合があるので、会社に相談するとよいでしょう。
受け取れる金額は、1日あたり支給開始日の以前12ヶ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×(2/3)です。
出産手当金
健康保険には出産手当という制度があります。この制度はどのように利用するのでしょうか?
制度の内容
働いている女性が産前産後の休業の間に給料を受け取れないことで受け取れます。
前提条件として「働いているママ」が対象となりますが、退職していても健康保険の加入が1年以上であり、出産手当金の支給期間内の退職であれば受け取れます。
専業主婦など条件に満たない場合には支給されません。
控除される内容
出産のために会社を休んだ場合に出産予定日前の42日前から出産後の56日目までの範囲内で「出産手当金」という形で支給されます。
受け取れる金額は、1日あたり支給開始日の以前12ヶ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×(2/3)です。
申請先申請方法
妊娠がわかったときに職場に出産手当の申請をしたいことを伝えましょう。申請書類に事業所の証明書類が必要になりますし、職場で健康保険出産手当金支給申請書を取り寄せてくれることもあります。
そのほかには保険証と母子手帳のコピーなどが必要です。書類がそろったら健康保険組合に郵送しましょう。
申請してから約1~2ヶ月ほどで出産手当金が受け取れます。
育児休業給付金
子供が小さいうちは出産前のように働くことができず、やむをえず休業しなくてはならなくなることが多いですよね。そうなると給料が受け取れません。
そんな人たちのためにできた給付制度です。
制度の内容
文字通り社員が育児のために休業する間に受け取ることができる給付金のことです。
控除される内容
働いているからと言って誰でも育児休業金を受け取れるわけではありません。以下の条件にあてはまることが必要です。
- 1歳未満の子供がいる
- 社会保険に加入している
- 育休をとる前の2年間の間に1ヶ月のうち11日以上労働した期間が1年以上ある
- 育児休業中に1ヶ月の給料の8割以上を受け取っていないこと
- 育児休業中に1ヶ月に10日以上働いていないこと
子供が1歳6ヶ月または2歳になるまで延長もできます。パートや契約社員などは対象になっているか不安な方は会社に相談をしてみるとよいでしょう。
受け取れる金額は、1ヶ月あたり育児休業開始前の6ヶ月の給料を180で割った金額の67%です。育児休業の開始から6ヶ月経過した場合は50%になります。
申請先申請方法
申請者は会社に育児休業給付受給資格確認票と育児休業給付金支給申請書を記入してもらい、母子手帳のコピーや出勤簿か賃金台帳、受取口座の通帳の写しを管轄のハローワークに提出します。
申請は1度だけでなく、2ヶ月に1度申請書を提出する必要があります。
申請者だけでなく会社側にも申請書類を用意してもらう必要があるので、事前に会社に相談をしておきましょう。
児童手当
文字通り子供に給付される手当てです。
制度の内容
子供が健やかに育つために子供の親に支給されるもので、対象は0歳から中学校卒業までの子供を養育していることです。
控除される内容
- 3歳までの子供:1万5,000円
- 3歳以上から中学校卒業まで:1万円
- 第3子以降、3歳以上から小学校卒業:1万5,000円
※1ヶ月当たりの金額
給付には所得制限があり、限度額以上の場合は5,000円になります。
申請先申請方法
子供が生まれた時に住民票のある自治体に認定請求書と請求者の健康保険証の写しを提出すれば受給対象になります。公務員の場合は勤務先に提出して申請ができます。
受給は原則申請した翌月分からになります。
各種助成金はお金の不安がある女性の心強い味方!
出産にはかなりの金額を出費することになりますが、受け取れる助成金もたくさんあります。
たくさんの制度があるので自分がどんな助成金を受け取れるのかきちんと把握をし、明るい気持ちで安心して元気な赤ちゃんを産んでくださいね!